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かさじぞう http://hukumusume.com/douwa/English/jap/12/31_j&E.html
むかしむかし、ある ところ に、びんぼう だけど こころやさしい、おじいさん と おばあさん が いました。 あるとし の おおみそか の こと です。 おじいさん と おばあさん は、ふたり で かさ を つくり ました。 それ を まち へ もっていって うり、おしょうがつ の おもち を かう つもり です。 「かさ は いつつ も あるから、もち ぐらい かえる だろう」 「おねがい しますね。それから こんや は ゆき に なります から、き を つけて くださいよ」 おじいさん は、いつつ の かさ を もって でかけ ました。
いえ を でて まもなく、ゆき が ふって きました。 ゆき は だんだん はげしく なった ので、おじいさん は せっせ と みち を いそぎ ました。 むらはずれ まで くる と、おじぞうさま が むっつ ならん で たって います。 おじぞうさま の あたま にも かた にも、ゆき が つもって います。 これ を みた おじいさん は、そのまま とおりすぎる こと が できません でした。 「おじぞうさま。ゆき が ふって さむかろうな。せめて、この かさ を かぶって くだされ」 おじいさん は おじぞうさま に、うる つもり の かさ を かぶせて やりました。 でも、おじぞうさま は むっつ なのに、かさ は いつつ しか ありません。 そこで おじいさん は じぶん の かさ を ぬいで、さいご の おじぞうさま に かぶせて やりまし た。
いえ へ かえる と、おばあさん が びっくり して いいました。 「まあまあ、ずいぶん はやかった ですねぇ。それに、おじいさん の かさ は どうしました?」
おじいさん は、おじぞうさま の こと を はなして やりました。 「まあまあ、それ は よい こと を しましたねえ。おもち なんて、なくても いいですよ」 おばあさん は、ニコニコ して いいました。
その よる、よなか だと いうのに、ふしぎ な うた が きこえて きました。 ♪じいさん の いえ は どこだ。 ♪かさ の おれい を、とどけ に きたぞ。 ♪じいさん の いえ は どこだ。 ♪かさ の おれい を、とどけ に きたぞ。 うたごえ は どんどん ちかづいて、とうとう おじいさん の いえ の まえ まで くると、 ズシーン! と、なにか を おく おと が して、そのまま きえて しまいました。
おじいさん が そっと と を あけて みると、おじいさん の あげた かさ を かぶった おじぞうさ ま の うしろすがた が みえました。 そして いえ の まえ には、おしょうがつ よう の おもち や ごちそう が やま の よう に おいて ありました。 おしまい